東洋経済「中学受験加熱狂騒曲」はこれから受験する保護者に最適

中学受験

中学受験が佳境になったタイミングで、東洋経済が2024/2/3特大号「中学受験狂騒曲」を販売しました。

この時期の販売なので、小学校6年生を対象にしたのではなく、それ以下の学年に向けたものじゃないかと思います。東洋経済なので、1冊まるごとというわけでなく、あくまでも特集記事なのですが、内容としてはかなり充実していました。ひととおり読んでみたので、ちょっと内容と感想をあげてみます。

序論

イントロで保護者ルポっぽい入りは、「勇者たちの中学受験」風にしているのかもしれないですが、ちょっとわかりにくいです。

哲朗(仮名)の妻は受験が終わった後に、寝ている息子を踏みつけるなどの暴力をふるうように。

以上はすべて実話、と記載されたわりに以降でそのエピソードの詳細記事がないので、なんとなく消化不良です。

「加熱する中学受験のリアル受験者数が増えている」は児童が激減する中、今年も中学受験が増えている点をデータを交えて紹介。

受験で子どもが燃え尽きる、夫婦仲が悪化するなど、受験の弊害を聞くことも増えた。受験シーズンの今こそ、冷静にみつめ直す必要があるのではないか。

というまとめはちょっと微妙ですね。特集全体の内容とあまりかみあってない気がします。

Part1 間違いだらけの中学校・塾選び

中学受験に押し寄せる大学序列変化の大波

Part1冒頭の記事で、大学入試が「年内入試」の学校推薦型が増えて一般入試が減る傾向が強まることによって、一般入試に強い御三家ではなく、推薦枠の多い中高一貫校や大学系列校にシフトしているといいます。

それによって大学の序列が変わり、中学受験も変わってくるという内容です。でもよく見ると「10年後の大学入試改革の余波で序列崩壊へ」という図はちょっとあおりすぎな気がします。

たとえば「3大都市圏の最難関公立トップ高校」が上昇すると書かれていますが、これ御三家志望の子でもなかなか難しいかなりの難関です。しかも中学の内申書も影響するので、そう単純ではない気がします。

また「3大都市圏の国公立中高一貫校」も急上昇ってことになっていますが、これもふつうの私学の中学入試と違う適性試験なので、ちょっと対策が難しいでしょう。つまり私立の中間一貫校の序列が崩壊するようなこともないんじゃないかと思います。

記事内に「首都圏70塾によるイチオシ注目校」という3項目からなるリストがあるのですが、それはちょっと興味深かったです。3つのリストすべてに当てはまる学校が、駒込、順天、山脇学園で、これら3校が10年後には難関校入りするとみているそうだ。

親世代とこんなに違う30年間で激変した序列

男女別に30年間で偏差値が激変した学校のリストが掲載されています。30年前とは校名が変わっているところが多いですが、その最たるものが順心女子学園から変わった広尾学園でしょうね。

これから中学受験をするなら、親の時代の知識を持ち込んでも意味がないし、兄弟で3年くらい離れているくらいでも、情報はだいぶ違ってくるんじゃないかと思います。受験親ならこのへんの知識は改めて入手したほうがいいと思います。

記事中に「志望者が増えた中学校」の記事もありますが、これはこの1〜2年のことに限っているので、3年たったらまた違った結果になりそうです。

口コミサイト「みん中」で高評価 本当にためになる中学校

「高偏差値の学校が口コミサイトでも高評価とは限らない」というサブタイトルがついて、口コミ評価のポイントが高い学校を選択して紹介しています。成城中学校、公文国際学園中等部、女子美術大学付属中学校、日の出学園中学校、自由の森学園中学校が紹介されています。

ただ口コミの評価は、評価基準がユーザーよって異なるので、単純に得点の高い学校が評価が高いとは言い切れないのですが、あんまり知らない学校が紹介されていたので、へーという印象でした。

何が何でも4大塾? 子どもに合った塾はここだ

この記事にあるフローチャートは、難しいところですね。同じ塾でも校舎によっても対応がけっこう違うし、例えば四谷大塚などはいろいろな形態の教室があるので、そのへんも加味すると単純に4大塾だからどうとはいえないような気もします。

ただ中小の塾や、関西の塾まで取り上げているので、そのへんは参考になりそうです。

記事の中に「いい転塾、悪い転塾」と、転塾についての記載があるのはいいと思います。塾との相性というのはあると思うので。

例えば小学校4年生で入塾するときには、偏差値なんてわからないので、とりあえず人気のあるSAPIXに入塾するとします。でも5年生になって、ある程度偏差値がわかってきて、塾の進行についていけなくなったりしているようなら転塾も視野に入ります。そのあたりの状況もきちんと説明しているのは、いい記事だと思います。

「大手塾と併用するならここ!」という主な個別指導塾のリストアップしているのは、おもしろいし、参考になります。リアルでは6年の後半には個別指導や家庭教師を使っている人も少なくないので、いい記事だとは思います。ただ、冒頭で「冷静にみつめ直す必要があるのではないか」といっておきながら、「課金上等」を指示するような情報も入れてるのは微妙。

あとこのPartでは、最近話題の「高大連携」に触れているのは高ポイント。

Part2 ルポ・中学受験

夫婦に生じた修復不能の溝 課金地獄の果ての離婚危機

仮名の川上由美さんが3年で500万円課金した事例などを紹介し、塾の課金の仕組みなどを提示しているが、この記事も冒頭の記事と同じ人が書いています。

いったい、誰のための、難のための中学受験なのか──。改めて考える必要がありそうだ。

この人は同じスタンスで記事を書いたようで、中学受験に警鐘を鳴らす的な感じで締めています。このあたり全体のトーンを統一すればいいのに、って思いました。

「中学受験で『燃え尽きる』子どもたち」は、入試が終わったら不登校になる話で、リアルでもそういう話を聞いたことがあったので、入試のときも、入試が終わった後も気になっていたことでした。

記事では、そういった不登校経験のある子どもたちに対応する西荻窪の個別指導塾について紹介していました。入学した学校が合わない、は本人にとってつらいので、学校選びの際には、親は校風についていろいろ調べておく方がいいんだろうなあ、と思いました(調べてもだめなときはだめだと思うんですが)。

プリント管理・宿題で併走…土日もフル稼働で倒れる寸前

「中受が奪う親と子の時間」というキャッチがついたこの記事は、SAPIXに通う子どもを持つ働くお母さんの1週間の時間割を記載しています。

これを見るとかなり面倒見のいいお母さんの事例で、ここまでできる人はそうそういない気がします。SAPIXだから親の負担もある程度あると思うのですが、それにしてもSAPIXとNNを受講しつつ、個別指導までやっているので、かなり高負荷の中学受験をしていると思います。

内容を読む限り相当がっつり取り組んでいて、内容チェックも相当やっています。これで仕事もやりつつだから、たいへんだと思います。たぶんみんながみんなこんなやり方をしていないと思うので、大変な人を事例として取り上げたっていう感じを受けました。

「増える『中受回避』の小学校受験 親自身の『知性』『姿勢』が問われる」という記事もありますが、小学校受験は完全に親の受験なので、違うジャンルの話だと思いました。読者の対象も違うような気がします。

Part3 中学受験のデマ

中学受験にはデマと思い込みがてんこ盛り

おおたとしまさ氏の記事なんですが、この人の価値観に沿った記事展開になっています。おおたとしまささんの書籍はほとんど読んでいるのですが、「基本的には偏差値ではなくて、校風で選ぼう」みたいな内容が多いのです。それはそれで間違っていないと思うし、正しいとも思います。

記事では、例えば「デマと思い込み1 高校入試をやめている女子校が多い?」は、たぶん林先生の発言がもとになって、話題になった話だと思います。

たしかに数字だけあげれば、女子校の高校入試実施学校が増えているのかもしれません。でも2022年に高校募集を停止した豊島岡をめざしている子にとって、偏差値40台の学校がいくら増えても代替えにはならないはずです。

現実の女子受験生の父兄からしたら、女子の場合は、開成のような高校から受験できる学校はなくなっていて、それなら中学受験したほうがいい、ってなるのは当然かと。このあたりの事情抜きでデマと決め込むのはどうなんでしょうね?

全体におおた節が全開の記事ですが、中学受験の基礎知識的には悪い記事じゃないと思います。興味があれば他の書籍も読んでみると全体像がわかります。ちょっと理想主義っぽいですが、基本的な心がまえができる本だと思います。

たとえば「なぜ中学受験をするのか?」などは中学受験の是非について、記述されていて、基礎知識の習得に役に立ちます。

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バブル偏差値レシピが生んだ中学受験パニック

ここでは昨年話題になった芝国際の例をあげて、新興の学校が偏差値を上げるためのテクニックを使っているというからくりを紹介しています(要するに募集人員を少なくして、さらに試験日を増やせば、1回あたりの募集人員がより少なくなって、倍率がはねあがって合格者の偏差値が跳ね上がるというレシピ)。

こうしたからくりを知ることで、受験校を選択する際には気をつけることができるようになります。新興の学校や、日程変更があった学校の受験には、十分な注意が必要だと思います。

まとめ

小学校3〜4年のこれから中学受験のための塾通いを進めようとしている家庭の保護者には、なかなか有益な特集だと思います。この1冊で全部がわかるわけではないでしょうが、最近のトピックスにも触れられているので、最新の情報が得られます。

たぶん、これから春にかけて、今年の受験を総括したような雑誌やムックなども登場すると思うので、それらを合わせて見て、情報を収集していくといいのではないかと思います。

東洋経済が2024/2/3特大号「中学受験狂騒曲」

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