「教育格差」に飲み込まれないための中学受験

PRESIDENT onlineで9月の教育部門の人気1位が、「子どもの学歴は「生まれ」で決まる…低学歴の親が目を背けたくなる学歴データが示す不都合な真実」という記事だったそうです。

この記事そのものは、いろいろな専門書で語られている事柄を平易な言葉で紹介しているといったタイプの記事です。この記事の中で触れられている「教育格差」という本はわたしも読みました。データが豊富で、それを読み解いていく論文スタイルなので、決して読みやすい本ではないのですが、内容はひどく刺激的でした。

子どもの進学先が、親の年収や学歴に左右されるというのは、よく聞く話ですが、それらも印象ではなく緻密なデータで解説しています。さらに親の年収や学歴という話よりも、生まれた地域にも左右されるというのが衝撃的でした。

まわりに大学に行くような人があまりいないような地域では、そもそも進学するという発想にならなくなってきます。うちの子どもが通っていた小学校はわりと中学受験をする人が多い小学校でしたが、保育園の友達の通っていた隣の地区の学校では、中学受験するような子は学年に何人みたいな感じだったようです。

たとえ中学受験をしなくても、周囲の環境があまり勉強に熱心でない環境下では、進学のために勉強するというのはかなり大変です。中高生なんて、まわりの友達にもろに影響されますから、ひとりだけ遊びに流されずがんばって勉強するなんてそう簡単じゃありません。

進学校の生徒なら試験前は勉強するでしょうが、進学する人が少ない学校では進級できる程度にやっておけばいいってことになりがちです。

公立中学校であっても学力、大学進学期待、通塾、学習努力量、メディア消費、親の学校関与──これらすべての観点で「ふつう」が学校SESによって異なる。また、特に都市部では高SES・高学力層が私立中学に抜けるため、公立校におけるSESと学力は小学校より均質化する。高い学力があり、大学進学期待を持ち、学習努力を惜しまない層がいなくなるのだ──これは平均が下がることを意味する。

松岡亮二. 教育格差 ──階層・地域・学歴 (ちくま新書) (pp. 264-265). (Function). Kindle Edition.

学校SESとは、「親の学歴、職業、所得といった家庭の経済的・文化的背景を統合した概念」ということだそうで、本書の中で重要なキーワードとしてでてきます。

大学進学が「ふつう」の地域で育つのと、大学進学が特別な地域で育つのとでは、やはり生活や過ごし方も変わってくると思います。「学歴至上主義」というわけではないのですが、学歴(というか、学校歴?)によって、収入格差などがあるのは事実です。親としては子どもに最低限のことはしておきたいと思います。

中学受験が厳しく「だったら高校受験で」という人もいるようですが、高校受験はさらに厳しくなるんじゃないかと思います。高校受験の是非に関しては、また別記事で記載します。

「教育格差」は、受験や教育に関心がある人にとっては、本当に興味深い書籍です。

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