2025年の中学受験動向──中堅校が高倍率になっている

2025年の中学受験がおおむね終了しました。結果はいろいろだと思いますが、進学先で楽しく過ごせるように祈っています。
今年の中学受験の動向を学習塾・予備校の市進によるデータから見てみます。各学校の出願数、実際の受験者と合格者から算出される実質倍率などの数値がでています。まだ2025年度分の合格者などを公開していない学校も少なくないので、公開されている範囲のデータで動向をチェックします。
まず基本となるデータですが、下記になります。ここから、東京と神奈川のデータをチェックしてみます。
https://www.chu-jukennavi.net/sokuhou.html
データの見方
データはまず出願者数が表示されます。2024年の数値と比較した数値で、増えている場合は「赤」で、減っている場合は「青」で表示されています。またデータが公開されている学校では受験者数と合格者数、実質倍率が2024年分と2025年分が表示されています。
たとえば青山学院の男子の場合は、24年の倍率が「2.9倍」だったのに対して、25年は「4.0倍」に増えているので、合格しにくくなっているといえるでしょう。そんなふうに東京と神奈川の男子校、女子校、共学校と見ていきたいと思います。

男子校
開成や麻布、武蔵、駒場東邦、早稲田などの最難関校はのきなみ受験者数を下げています。しかし受験者と合格者でみる実質倍率は前年とほとんど変わらないので、そういう意味では難易度は変わらないといってもいいと思います。ちょっと無理目だけど受験してみる、という層が少し減ったということじゃないかと思います。
偏差値帯で言うともう少し下がる暁星、攻玉社、芝、巣鴨なども、出願数は減っていますね。このあたりの減少はそもそも子どもの数が減っているという線もあるのかもしれません。
一方、1回目の受験で増えているところは、成城、世田谷学園、桐朋、日本学園、本郷、明大中野、立教池袋といったところでしょうか。特に日本学園の「149%」と、立教池袋の「125%」が目立ちます。日本学園は2026年から明治大学付属になるということで、去年に引き続きの人気です。立教池袋は青山学院の受験日変更(プチサンデーショック)による影響があったみたいです。
神奈川でも浅野、サレジオ、は減らしていますが、鎌倉学園、慶應普通部、逗子開成、聖光などは増えています。ただし、こちらも実質倍率を見ると変化は少ないので、難易度に大きな変化はなさそうです。
女子校
女子も御三家や豊島岡、吉祥女子あたりは微減です。ただ実質倍率はあまり変わらないので、難易度に変化はなさそうです。ただ鴎友は107%、111%と2回とも上昇しています。ひょっとすると鴎友は理系女子も多い学校なので、女子の理系人気を反映しているのかもしれません。
頌栄は早慶に強い女子校として話題になりましたが、出願数は下がっています。
早慶大に強い女子校ランキング 頌栄は現役合格率115%、計算上「全員が合格」
また、昨年大学との連携で人気だった三輪田(79%)と香蘭(89%)ともに下げていますが、これは昨年あがりすぎた反動かもしれません。
逆に女子の中堅層とみられていた、普連土、女子美、跡見などは志望者が増えて実質倍率も上がり、合格が難しくなっています。ほかにも恵泉と立教女学院が125%とかなりあげています。
神奈川でも難関校の洗足学園が89%、フェリスが96%と下げていますが、特に入りやすくなるということではなさそうです。
昨年、受験回数を増やした横浜雙葉は、1回目は74%と志願者数を下げていますが、2回目の2/2の試験では114%と増やしています。このあたりの動きはまだ安定していないのでしょう。
神奈川でも中堅どころの神奈川学園が151%、鎌倉女学院が103%と伸ばしており、中間層の受験者が増えている傾向があらわれています。
共学校
共学校は全体に出願者が増えているようです。とくに応募者が増えているのは青山学院(男子152%、女子115%)です。これはプチサンデーショックで通常の2日から3日に受験日が変わったことによる影響でしょうか。
同じ2日試験だったMARCH付属の明大明治は、男子は99%でほぼ横ばい、女子は106%と若干増加ですが、大きな変化はないようです。2日に受験しようとしていた人はどこにいったのでしょう?
3日の慶應中等部は男子97%、女子88%で、男子はさほど変わっていません。同じく難関の早稲田実業(1日試験)は男女ともに104%と微増しています。慶應中等部、早実ともに受験者層はあまり変わっていないんじゃないかと思います。
特徴的なのは芝国際で、1日午前、午後、2日午後、3日午後のすべてで大幅に出願数を伸ばしています。男子などは3回の入試ですべて200%を超えています。ただしこの学校は合格者数がもともと少ないのと、まだ新しい学校で動向が定まっていないという点で、結論は見出せない感じではあります。
芝国際ほどでもないですが、淑徳、淑徳巣鴨も同じように男女ともに増えています。また順天も女子だけですが全日程で出願数を伸ばしています。このあたりの中堅校の伸びが大きいようです。
共学校で驚いたのは、渋渋の1日男子が74%ととても少なかったことです。2日が96%、5日が109%ですから、1日の現象は人気校だけに驚きです。まあ1日受験で今の渋渋なら開成や麻布などの男子校に流れてもおかしくないですが。
2025年の動向と今後
難関校は基本的に横ばいな感じで、多少出願者数が増減しても、実質倍率は大きく変わらないように見えます。これから受験者数は減ってくると思いますが、難関校が入りやすくなるわけではなさそうです。
受験者数は減っても中学受験率は上がっているので、むしろ中間層の学校の人気が高まっているようです。難関校を受ける人が安全校として選択していた学校が安全校にならなかったケースも少なくないようです。
SNSなどで、新座立教が100人あまりの繰り上げ合格を出したことが、話題になってました。結局のところ前年のデータなどは「参考にはなるけどあてにはできない」ということになりますね。模試でどれだけ「80%」の合格可能性を出していてもとりこぼすことはありますし、「40%」でも合格することもあるので最後まで気が抜けない、という当たり前の結論になってしまいます。



