「令和の中学受験2 志望校選びの参考書」を読みました

筆者の矢野耕平さんは、自由が丘でスタジオキャンパスという中学受験塾をしながら、いろいろなメディアで執筆している人です。わたしもいくつか著作を読んでいます。その矢野さんの新作が本書です。

内容的には最新の中学受験事情と、志望校選びのための基本的な考え方について記載されています。いろいろな学校を取材されているようで、自分の考え方を提示するだけでなく、学校関係者の言葉を合間合間に挿入しているのが上手です。

共学か別学か、進学校は付属校か、など志望校選びのベースとなる考え方が書いてあります。たぶん5年生くらいの親が読むのに適している本だと思います。受験直前で、ほぼほぼ志望校が確定している6年生の親にとっては、だいたいわかっている内容でした。でもわりにおもしろく読めました。

いろいろな学校の事例が掲載されていたりするので、へえって思うようなこともたくさんありました。特に女子校のことはほとんど知らないので、「うちの子が女子だったら行かせたい」と思うような学校もありました。そういうのがいろいろ興味深かったです。

あと、他の本であまり書かれていない記述としては「発達障害の子への対応」というのがありました。学校によっても対応がいろいろなんだな、と思いました。たとえば聖光学院の先生の言葉を引用しています。

「発達障害と言われるような子はたくさんいます。ですから、学内でも『普通』の存在であり、浮くようなことはありません。その子たちそれぞれの特性に合わせて対応していますしね。なんなら、教員にも発達障害の人間が何人もいます。ASDに対して、『何かしなければならない』ということではなく、さらに先の理解をわたしたちはしています。決して発達障害を持つ子たちを特別扱いしません。たとえば、片付けができない、人に挨拶ができない……、そういう子に対して苦手なことを強制するあまり、彼らが持つ特性を潰したくはないと考えています」

矢野耕平. 令和の中学受験2 志望校選びの参考書 (Japanese Edition) (p.168). Kindle 版.

たしかに先生の中にもいるでしょうね。そのへんは学校によっても対応は違うようで「公立の方が恵まれた環境を得られると思います」という学校関係者もいるようです。

ほかにも「ギリギリの成績で入学した場合は大丈夫か」「模擬試験の活用方法」「過去問への取り組み方」など、関心の高い内容の記述もいろいろありました。もちろん今読んでもおもしろいのですが、できれば6年生になったくらいのときに読みたかったです。

意見の押しつけもないし、ものの見方もフラットなので、読みやすく信頼感があります。中学受験親なら単純に読み物としておもしろいですし、これから志望校をつめていくような学年の親には最適だと思います(仕事系文章みたいな締め)。

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