東洋経済「中高一貫校 新序列」とダイヤモンド「中高一貫校・高校 大学合格力ランキング」の読み比べ

ちょうど同じタイミングで週刊東洋経済の中学受験特集号と、毎年でているダイヤモンドの「中高一貫校・高校 大学合格力ランキング」というムックが販売になりました。

本当はもう中学受験は終わっているのに、いまだに情報を追いかけてしまいます。沼から抜け出せない状態なんでしょうね。

そんなわけでどちらの冊子も入手して読み比べてみました東京経済のほうは雑誌の特集号、ダイヤモンドのほうは一冊まるごとのムックですから、ちょっとタイプが異なりますが、実は中身もけっこう違っていました

東洋経済は初心者向き?

「中高一貫校 新序列」というのが特集タイトルになっていますが、内容については下記のようなコンテンツになっています。

INDEX

最新序列マップ

注目の中高一貫校

多様化する中学入試形態

受験費用のリアル

実力&校風データ

はじめに中学受験の総論があって、受験者数や「学校選びの軸が多様化」などのイマドキの中学受験全体イメージが書かれています。首都圏の4大塾(SAPIX、四谷大塚、早稲アカ、日能研)の特徴があったりします。

また受験する学校パターンで「最難関校」「中堅校」「新タイプ入試」と分けた、ロードマップなどもあって小学校1・2年〜受験本番までのスケジュールが書いてあったりします。「新タイプ入試」ってなんだろうと思ったら、公立一貫校的なテストのようです。

正直このへんの内容は薄いです。これから中学受験に参入しようと思っている親向けくらいの内容です。すでに受験体制に入っている小学校5〜6年の親にはあまり役に立ちません。

最新序列マップ

たぶんこの特集号の目玉になるのが、このマップなんじゃないかと思います。首都圏、関西、中部のそれぞれがありますが、関西や中部のことはまったくわからないので、首都圏のマップについての感想です。

記事の主たる部分での書かれていることはわからなくもないですが、マップはちょっと違和感があります。ちょっといろんな要素を詰め込みすぎてわけがわからなくなっている感じです。せめて男子と女子を分けないとスペースが足りてない感じです。

マップの上部に「校風」の横軸(左が新しもの好き、右が伝統重視)というのがあります。そのすぐ下に「校風ガツガツ度」の横軸があって、左が強いことになっています。このあたりの味方や配置がよくわからないです。

左に縦軸がありますが、これは「総合難度」だそうです。下の小さな脚注を読むと、「偏差値とともに、それ以外の要因(入試対策のしにくさ、大学合格実績など合計15項目を約300学習塾から聞き取り総合評価したもの)ということです。要するに主観や感想っていう部分も大きそうです

実際に、学校の並びを見ていても、実態とは明らかに違うだろうというところが見られます。男子校なら「芝や攻玉社の位置がここ?」などと思いますね。女子との位置バランスもちょっと違和感があります。

W合格の記述もちょっと微妙

記事の中で、たとえば「男子御三家が近年は、武蔵と駒場東邦の序列が入れ替わる場合もある」と書かれています。それ自体はよく言われることで別に異論はないのですが、「筆者の調査では、ダブル(W)合格する学力があった場合、65%が大学合格実績を重視して駒場東邦を選ぶ結果となった」とあります。

筆者の調査ってなんだ? と思ったらこれも脚注がありました。これも「300学習塾に聞いて、教え子がどちらも合格した場合にどっちを勧めるかで、日程的にW合格が不可能な場合はそうなった場合を仮定して答えてもらった」とのこと。これも完全に主観の世界ですね。

そもそも武蔵と駒場東邦では、校風が全然違うし、単に進学率だけで65%も駒場東邦を選ぶ、っていうのは微妙です。同様に女子御三家の雙葉と豊島岡も「W合格した際、41%が豊島岡を選ぶ結果となった」と事実みたいに書いてますが、これも想像の範囲ですよね。

男子の武蔵と駒場東邦よりも、女子の雙葉と豊島岡のほうがもっと校風が違うと思います。豊島岡のメリットして池袋に近いとありますが、雙葉だって四谷ですからね。なんとなく細かく微妙に違和感を感じました。

そのほかの記事

「注目の中高一貫校」については、特色のある学校が、いくつか紹介されているという感じです。さらに「受験者数が増加した学校」のデータもあります。このあたりは順当に日本学園(25年から明治大の系列になって人気)などが紹介されていたりします。

「多様化する中学入試形態」と「受験費用のリアル」については、ページ数も少なく、さっと抑えているという程度です。

最後にあるのが10ページくらいを使っている「483校 実力&校風データ」です。

学校の進学実績が紹介されています。学校の並び方は、日能研のR4偏差値(80%合格)の順に並んでいます。

「東京大学」「京都大学」「難関10国立大」から「芸術系大学」「海外大学」までのデータです。合わせて「卒業時偏差値」が出ているんですけど、これはあまり意味がなさそうな数字です。進学先の大学の難易度(駿台模試偏差値)と合格者数から算出した数字で、母数も違うし、偏差値基準も違うので、ほとんどの学校で低い数字になっています。

学力伸長度っていうのも基準の違う「卒業時偏差値(2023)」から「入学時偏差値(2017)」を引いたものなので、あまり意味がなさそうです。

また「グローバル教育に力を入れている」「理数教育に力を入れている」「ICT教育に力を入れている」という項目もあり、学校によってはこの項目のところに点数がつけられています。たぶん校風データっていうのはこれのことを指しているんじゃないかと思いますが、「ああ、理数教育の数値が高いのね」という程度でしかなさそうです。校風っていうほどではないかと思います。

イマドキの中学受験の全体像をつかむのには、ちょうどいい特集かと思いますが、6年生の親が読むにはちょっと物足りないかもしれないです。

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ダイヤモンドは「合格力」での比較

週刊ダイヤモンドが春に「わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校」という特集号を出しました。これについては、記事も書いています。

今回のムックは毎年出しているムックで、「合格力」という進学先の難易度と合格者から割り出した数値でランキングを提示しています。

INDEX

6年後の進路を開く中高一貫校選び

中学・高校受験編

本当に子どもの力を伸ばす学校(PR)

大学入試編

特集「6年後の進路を開く中高一貫校選び」と「中学・高校受験編」「大学入試編」という記事がメインで、中間ページに「本当に子どもの力を伸ばす学校」という協賛校紹介のページがあります。この協賛校紹介はPR記事です。

特集「6年後の進路を開く中高一貫校選び」

「国公立20大学」「難関私立大学」「国公立大学医学部」のそれぞれで、ベスト100校が書かれています。そのほか、東大ランキングでの「トップ進学校」やら、「東大推薦入試の全国275校」やら、潔いくらいの進学ランキングネタです。

その一方で「国際教育」「STEAM教育」「探求教育」などの記事もあげています。進学力だけでなく、最近のトレンドになっているところもちゃんと抑えているという感じです。

その他の記事

今年の入試状況を森上教育研究所の森上氏が解説。今年の中学受験はやはり加熱しているようで、受験者も大幅に増えていると。ここは現状の受験状況が整理されていて、わかりやすかったです。

このパートで面白かったのは併願パターンの掲載でした。いくつかのパターンが提示されていて、けっこうリアルな併願校のパターンが記載されていました。

  • 難関・上位校
  • 上位・中位校(国立・早慶逆転型)
  • 上位・中堅校(GMARCH型)
  • 付属・系属校
  • 中堅・中位校
  • 適性検査型

大学入試編は、「国公立178大学合格力ベスト200校」と「都道府県別『大学合格力』高校ランキング」がほとんどのページを占めています。これはこれで、近郊の高校の情報などを見て「へえ」と思うところもありますが、ほとんどがあまり関係ない情報でした。

そんなわけで、この本のメインの情報は最初の60ページくらいだったかな、と思います。とはいえ、東京経済よりは中受沼の好奇心を満たす情報が多かったように思います。

個人的な不満をいえば、デジタル版がないことです。東洋経済はデジタル版で購入しましたが、この本は紙版しかありません。最近ほとんどの本をデジタルで読んでいるので、デジタル版があればいいのに、と思いました(これは個人的な趣味の問題です)。

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どちらの雑誌も全体の状況がまとまっているので、概要をつかむのにはとてもいいのではないかと思います。ネットになれている人なら、いろいろな情報を見つけられると思うのですが、ざっくり概要をつかんだりするのにはこうした雑誌がいいかもしれません。

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