80%ラインと50%ラインの差で見る入試問題のクセの強さ
「令和の中学受験」などの著者である、スタジオキャンパスの矢野耕平さんが、X(Twitter)で興味深い投稿をしていました。
男子校でいえば、麻布や武蔵などは、たしかに他校とは異なるクセのある問題で知られています。そうした学校は、そのクセに対応した対策が求められます。結果的には、偏差値が少し足りなくても、しっかりとした対策をとれば合格率は上がる、ということもあるようです。
そういう意味では、このデータでクセの強さを確認できるなら、ちょっと確かめてみようと思いました。そこで四谷大塚の2023年の結果偏差値一覧から、2月1日試験の学校のデータを拾ってみました(偏差値50まで)。
先にあげたように、麻布や武蔵は問題が独特で有名ですから、それを基準にして、「80%偏差値−50%偏差値」が「4」以上の学校に色をつけて表示しました。
男子の受験校(2月1日AM)
学校名 | 80%偏差値 | 50%偏差値 | 差 |
---|---|---|---|
開成 | 74 | 68 | 6 |
麻布 | 68 | 64 | 4 |
渋渋 | 67 | 64 | 3 |
駒場東邦 | 65 | 61 | 4 |
武蔵 | 65 | 61 | 4 |
早稲田 | 65 | 62 | 3 |
早大学院 | 65 | 62 | 3 |
海城 | 64 | 61 | 3 |
早稲田実業 | 64 | 60 | 4 |
慶応普通部 | 63 | 60 | 3 |
広尾学園 | 61 | 58 | 3 |
サレジオ学院 | 60 | 56 | 4 |
芝 | 60 | 57 | 3 |
本郷 | 60 | 56 | 4 |
都市大(II) | 57 | 53 | 4 |
中央大付属 | 57 | 53 | 4 |
中央大横浜 | 57 | 53 | 4 |
城北 | 56 | 52 | 4 |
逗子開成 | 56 | 52 | 4 |
世田谷 | 56 | 52 | 4 |
桐朋 | 56 | 53 | 3 |
広尾小石川 | 56 | 52 | 4 |
青山横浜 | 55 | 52 | 3 |
攻玉社 | 55 | 51 | 4 |
巣鴨 | 55 | 51 | 4 |
法政 | 55 | 51 | 4 |
三田国際 | 55 | 52 | 3 |
開智日本橋 | 54 | 51 | 3 |
都市大等々力 | 53 | 49 | 4 |
青稜1A | 52 | 49 | 3 |
帝京 | 52 | 49 | 3 |
高輪 | 52 | 48 | 4 |
明大中野 | 52 | 49 | 3 |
芝浦工大 | 52 | 49 | 3 |
公文国際A | 52 | 49 | 3 |
山手学院A | 51 | 47 | 4 |
鎌倉学園 | 51 | 48 | 3 |
国学院久我山 | 51 | 48 | 3 |
成蹊 | 51 | 47 | 4 |
成城 | 51 | 47 | 4 |
成城学園 | 51 | 47 | 4 |
日本学園 | 50 | 46 | 4 |
安田学園(先進) | 50 | 47 | 3 |
結果を見ると、開成が「6」という以外は、ほぼ「4」と「3」で収まっています。いくつかの過去問をやったごく一部の学校の傾向で見ると、まあたしかに「4」の学校のほうがクセが強い(傾向はいろいろ違うけど)といえなくもないです。
女子の受験校(2月1日AM)
女子の方も確認してみました。
学校名 | 80%偏差値 | 50%偏差値 | 差 |
---|---|---|---|
桜蔭 | 71 | 68 | 3 |
渋渋 | 70 | 67 | 3 |
女子学院 | 70 | 66 | 4 |
早稲田実業 | 68 | 65 | 3 |
洗足学園 | 67 | 63 | 4 |
雙葉 | 67 | 63 | 4 |
吉祥女子 | 64 | 60 | 4 |
広尾学園 | 64 | 61 | 3 |
フェリス女学院 | 64 | 61 | 3 |
鴎友学園 | 62 | 58 | 4 |
頌栄女子 | 61 | 57 | 4 |
中央大付 | 60 | 56 | 4 |
東洋英和 | 60 | 56 | 4 |
立教女学院 | 60 | 55 | 5 |
中央横浜 | 59 | 55 | 4 |
香蘭 | 59 | 54 | 5 |
広尾小石川 | 58 | 54 | 4 |
青山横浜 | 57 | 54 | 3 |
学習院女子 | 57 | 54 | 3 |
法政 | 57 | 53 | 4 |
三田国際 | 57 | 54 | 3 |
開智日本橋 | 56 | 53 | 3 |
成蹊 | 56 | 53 | 3 |
三田国際 | 56 | 53 | 3 |
都市大等々力 | 55 | 51 | 4 |
青稜 | 54 | 51 | 3 |
帝京 | 54 | 51 | 3 |
大妻 | 54 | 49 | 5 |
成城学園 | 54 | 50 | 4 |
明大中野八王子 | 54 | 51 | 3 |
芝浦工大 | 54 | 51 | 3 |
公文国際 | 54 | 51 | 3 |
山手学院 | 53 | 49 | 4 |
日本女子 | 53 | 49 | 4 |
山脇学園 | 53 | 49 | 4 |
横浜共立 | 53 | 50 | 3 |
共立女子 | 52 | 48 | 4 |
品川女子学院 | 52 | 47 | 5 |
田園調布 | 52 | 48 | 4 |
安田学園 | 52 | 49 | 3 |
横浜雙葉 | 52 | 47 | 5 |
森村学園 | 51 | 47 | 4 |
桐蔭学園 | 50 | 46 | 4 |
東京女学館 | 50 | 47 | 3 |
富士見 | 50 | 47 | 3 |
日本大学 | 50 | 47 | 3 |
女子のほうが、「3」〜「5」でばらついています。女子の学校は過去問をやったことがないので、傾向を語るまではできません。ただ、三田国際のような共学校の問題はやってみたことがあります。「3」になっていますが、この学校の問題は、わりとクセが強いんじゃないかと思います。
このあたりは実際に女子の問題をやっている方がご判断いただくっていう感じですね。
問題の傾向によって受験を決めることも
秋になって過去問をやり始めるようになると、たしかに学校ごとの入試問題にクセがあることがわかってきます。偏差値が高ければクセが強い、低ければクセが少ないというわけではないです。
安全圏で受験しようと思った学校が、過去問をやってみると意外に難関で、「うちの子どもにはちょっと合わない」と受験をあきらめたところもあります。
「東大家庭教師友の会」というサイトの中に、入試問題の傾向を解説しているページがあります。もちろん有名どころの学校だけですが、わりと参考になります。少なくともわが家で受験した学校の傾向を見ると、だいたいあっていたと思います。
80%ラインと50%ラインの偏差値をチェックして、差を出して、男女両方のデータもだしたりしてみましたが、思ったほど明確な数値はでなかった印象です。
でも、こういうのをいちいち調べてやってみるっていうのが、わりと楽しかったりします。
ちなみに、矢野先生の「令和の中学受験」は読んでおいた方がいいと思います。